松江高専IT教育研究会「学生のための初めて学ぶIT(情報技術)」
このたび次の著書を出版しました。
宮本武明監修、松江工業高等専門学校IT教育研究会編
「学生のための初めて学ぶIT(情報技術)」
ISBN4-526-04750-3 日刊工業新聞社発行
A5サイズ、222ページ、2300円(税抜)
主な執筆者は本校情報工学科の教官5名、電子制御工学科の教官1名です。
目次は次の通りです。
序
第1章 緒言
1.1 ITとは
1.2 ITの進歩
1.3 情報とその表現方法
1.4 基礎研究の重要性
1.5 本書で取り扱う内容について
付録1−1 本書で用いる各種単位
第2章 コンピュータのしくみ
2.1 コンピュータの基本構成
2.1.1 コンピュータの原型
2.1.2 コンピュータの構成
2.1.3 ノイマン型コンピュータのハードウェア構成
2.1.4 デジタル信号
2.2 コンピュータ内部のデータ表現
2.2.1 2進数
2.2.2 16進数
2.2.3 メモリやハードディスクの容量の表現
2.2.4 文字の表現
2.2.5 整数の表現例
2.2.6 実数の表現
2.3 命令の読み取りと実行
2.3.1 CPU
2.3.2 メインメモリ
2.3.3 入出力回路
2.3.4 機械語命令
2.3.5 プログラムの実行
2.4 コンピュータの種類と利用形態
2.4.1 コンピュータの種類
2.4.2 コンピュータの利用形態
2.5 CPUのマイクロプロセッサ化
2.5.1 マイクロプロセッサ
2.5.2 集積技術
2.6 コンピュータの処理速度の高速化
2.6.1 処理速度高速化の方法
2.6.2 CPUの高速化
2.6.3 メモリアクセスの高速化
2.7 周辺装置とのインターフェース
付録2−1 パイプラインの障害と対策
付録2−2 キャッシュメモリ
第3章 コンピュータネットワーク
3.1ネットワークの技術と構成要素
3.1.1 コンピュータの通信
3.1.2 プロトコル
3.1.3 プロトコルの階層モデル
3.1.4 データリンクと通信媒体
3.1.5 ネットワークの構成要素
3.2TCP/IPプロトコル
3.2.1 TCP/IPプロトコルの正体
3.2.2 IPアドレスとサブネットマスク
3.2.3 TCP/IPプロトコル階層モデル
3.2.4 経路制御―情報の通り道とルータ―
3.3 インターネットのしくみ
3.3.1 ドメイン名とIPアドレス
3.3.2 インターネットでの情報の流れ
3.4情報を守る−ネットワークセキュリティの技術
3.4.1 ファイアウォールとは
3.4.2 ファイアウォールの実現方法
3.4.3 暗号化と個人認証の技術−アリババは
洞窟に侵入できるか?−
第4章 通信のしくみ
4.1 情報と雑音
4.1.1 情報量と相互情報量
4.1.2 最適受信機と誤り率
4.2 デジタル通信の開始
4.2.1 電信
4.2.2 テレックス
4.3 時間波形と周波数スペクトル
4.3.1 情報を伝える波
4.3.2 周波数スペクトル
4.4 伝送媒体の種類と信号を劣化させる要因
4.4.1 メタリックケーブル
4.4.2 光ファイバ
4.4.3 電波
4.5 通信の高速化と正確さを阻害する物理的現象
4.5.1 雑音
4.5.2 帯域制限
4.5.3 反射
4.6 ITを支える通信理論
4.6.1 符号理論
4.6.2 符号分割多元接続
4.6.3 スペクトル拡散通信
付録4−1
第5章 プログラムとデータベース
5.1 プログラムとは
5.2 データベースとは
5.3 オブジェクト指向のプログラム
5.3.1 オブジェクト指向の概念
5.3.2 オブジェクト指向プログラミング
5.4 インターネットのプログラム
第6章 マルチメディアの情報処理
6.1 情報の伝達
6.1.1 文字情報の伝達
6.1.2 音声情報の伝達
6.1.3 画像情報の伝達
6.2 情報の入力
6.2.1 文字情報の入力
6.2.2 音声情報の入力
6.2.3 画像情報の入力
6.3 情報の表示
6.4 コンピュータグラフィックス(CG)
第7章 インターネット技術とその応用
7.1 インターネットと社会
7.2 インターネット技術とは
7.2.1 電子メール
7.2.2 WWW
7.3 インターネット基盤技術
7.4 インターネット応用
7.4.1 グループウェア
7.4.2 モバイルグループウェア
7.4.3 電子商取引
7.4.4 遠隔教育
7.4.5 仮想空間
7.4.6 バーチャルスクール
7.4.7 遠隔医療
第8章 デジタル生産技術
8.1 CALS
8.2 IT時代の物流と電子商取引
8.2.1 物的流通について
8.2.2 企業間取引とIT
8.2.3 空気を運んでいてはもうけにならない(最適配送市場)
8.3 ITと新生産システム
8.3.1 生産システムを取り巻く環境
8.3.2 インターネットによる受注生産システム
8.3.3 好みの設定の車をインターネットで注文
8.4 ITと3次元CAD
8.4.1 3次元CAD(CATIA)とボーイング777
8.4.2 2次元CADの機能
8.4.3 3次元CADの利点
8.5 仮想生産システム
8.5.1 仮想生産システムの実例
8.5.2 ロボットシミュレータ
8.5.3 デジタルモックアップ
8.5.4 バーチャルファクトリ
8.6 知識創造とIT
8.6.1 知識について
8.6.2 知識創造
8.6.3 知識と情報の相違点と類似点
8.6.4 知識創造のプロセス
8.6.5 「匠の技」の伝承
第9章 生活を変える情報技術
9.1 家庭内での情報アクセス
9.2 家庭内の情報技術
9.2.1 家庭内ネットワーク
9.2.2 デジタルテレビ
9.3 車の中の情報技術
9.3.1 ITS
9.3.2 GPSによる位置測定
9.4 携帯用情報技術
9.4.1 携帯用情報端末
9.4.2 歩行者用ITS
なぜこのような本を出版したかについては、序に記してありますので以下に紹介しておきます。
[序]
世の中はこぞって「IT」を大合唱しているが、IT(情報技術)の本質を本当にわかっている人がどれだけいるのだろうか? 世界をリードするIT立国を目指すわが国としては、基礎学力を備えた有能な技術者の養成が最重要課題であるにもかかわらず、それには十分に力を入れず「ビジネス」の部分だけが盛り上がっているのが現状である。
筆者の所属する国立高等専門学校は、中学校の卒業生を受け入れ、5年間の一貫教育によって有能な実践的技術者を養成してきた国の高等教育機関である。現在は従来の機能に加えて、発想力、創造力豊かな技術者の養成が強く求められている。そのためには、基礎学力を十分に習得させ、応用力や実用化技術をも身につけさせねばならない。
高専には、情報関連の技術者を養成する学科が非常に多く、国立高専にはほぼすべての学校に情報工学あるいはその関連学科が設置されている。しかし高等学校レベルではじめて情報工学を学ぶ学生を対象とした適当な入門書は出版されていないのが現状である。IT革命がいかにわが国の経済再生に重要であるかを解説した本、ITをいかにビジネスに取り込むかを解説した本、ITでわれわれの日常生活がどのように変るのかを解説した本などなど、実用的観点から解説した単行本や大学生や大学院生を対象とした専門書は数多く出版されているのとは対照的である。
そこで、本校の情報工学科並びに関連学科の学生の授業に適した入門書的教科書を作成することにした。実際に授業を体験している現場の先生方によって書かれた本は学生にもわかりやすいと思う。本校の情報関連学科の教授陣は、本書を編集するに充分な陣容を要していたことも幸し、筆者が期待していた以上の優れた入門書が出来上がった。本書は教科書ではあるが、ITの進歩によって何がどう変りつつあるのか、変るのか、up-to-dateな情報も取り入れている。
情報関連の技術者を志す学生諸氏のみならず、行政や教育委員会に携わる方々や一般の諸君にも理解できるように、できるだけ平易に解説されている。21世紀を担うリーディング産業技術の本質を理解するためにも、本書が利用されることを期待している。
松江工業高等専門学校 教授 藤井 諭